父は、平日の朝は早くからバタバタと動き出すのですが、日曜日はゆっくりしています。 「今日はやけに静かだな」と思ったのですが、私は自分の部屋でテレビを見ていました。 昼が過ぎ、さすがに気になって父の部屋のドアを開けると、父が倒れていました。

救急車を呼んで、救急病院に搬送しました。 脳内出血だそうです。

脳外科の先生から「ご高齢なので手術が成功する可能性は10%です。このままにされるのもいいと思います」と説明された時、私は少しも迷わずに手術の方を選びました。 このままお別れするのは、どうしても嫌だったのです。

看護師さんが、「今夜はお布団を用意しましょうか?」と優しく聞いてくれたので、私の分だけお願いしました。

手術の間、胸が張り裂けそうでした。 なかなか終わらないので「どうしてこんなに長いの」と大声を出した私に、「助かるってことじゃないの」と姪が答えました。

そうでした。助からない命なら、もっと早く手術は終わるのです。 その夜看護師さんは、布団を持ってきてくれませんでした。 不親切な人だと思ったのですが、そうではなくて、お別れするための時間が必要ではなくなったからなのですね。